【数学的準備】和の記号Σ
和の記号
統計学では多数のデータを扱います。
そのため、多くの数を足し合わせたりするような数式が出現し、煩雑になることがあります。
そこで書く手間を減らしたり計算を楽にするために、和の記号というものを定義します。見た目はイカツイですが、ただの略記だと思うとよいです。
定義 和の記号
番目のデータをと表すとき、番目から番目まで個のデータを足した和を
と表す。すなわち
つまりこのは、足し合わせたい対象の左側に置くことでその対象を番目から番目まで順番に足すように命令する、という記号です。 この定義により、次のことがわかります。
定理 の性質
定数に対して
定数に対して
証明
はを含まない式なので、これはの値によらず常にである。よって番目から番目までずっとということなので
和の記号を書き下して
和の記号を書き下して
これは有限個の和なので、足し合わせる順番を変えても総和は変わらないから、まず先にを、その後にを足し合わせて
ただし、
であることに注意しましょう。たとえば
ですが、
となり、でない限りは等号が成立しません。
またこの定理により、計算の線形性という重要な性質が成り立つことがわかります。
系 の線形性
定数に対し
証明
の性質をまとめた表記であるので直ちに従う。
この線形性により直感的で簡単に計算ができるようになります。
今後を頻繁に使うので上の性質は覚えておいてください。